私の履歴書〜長嶋茂雄氏〜

今月の日経最終面・「私の履歴書」もおもしろい。
ミスタージャイアンツこと巨人軍終身名誉監督長嶋茂雄


私は阪神ファンで、アンチ巨人なので、
特に長嶋さんが好きってワケでもなかったのですが、
この1ヶ月“履歴書”を読んで、
長嶋ファンになってしまいました・・・


あの独特の感性で描かれる履歴書はとてもおもしろく、
天性のエンターティナーなんだな、と実感。


特に印象に残ったところを少しだけ引用させてもらいます。


7月13日「天覧試合」

4−4のままいよいよ9回裏まできた。
両陛下のお帰りになる時間も迫っている。
先頭打者として打席に立った私は、
「打ちたい。必ず打てる」。
いつもの自己暗示をかけた。
二−二からの五球目だった。
運命の一球はインコース高めにきたストレート。
振る抜くとボールは左翼上段に消えていった。
このサヨナラ本塁打に、両陛下は身を乗り出されて
拍手を送られる。
「ああ、野球をやっててよかった」としみじみ思った。

かの有名な村山−長嶋の天覧試合のホームランですね。
ここ一番で結果を出すのがすごい。
こんな時、どうしてもマイナス方向に
考えてしまいがちですが、さすがです。
サッカー日本代表某選手にも聞かせてあげたい。
「正直、蹴りたくなかった」なんて、言ったらダメだ。


7月23日「伊東キャンプ」

翌日、イモの子を洗う風呂場に飛び込んだ。
「おい、こんな時に柔軟体操をやっておくと
体が柔らかくなるんだぞ」。
フリチンの実技に笑い声が風呂場にこだました。
昼の厳しさとは対照的な光景に
選手との距離も縮まった。

きました、、「フリチン」 笑
おそらく日経新聞の紙面にこの文字が登場したのは
初めてでしょう。


監督就任後、鬼のキャンプで徹底的に選手をしごきながらも、
夜にはこんなスキンシップ?で、
距離を縮める、長嶋流。


7月25日「辞任会見」

「この二十三年間、しゃにむに野球により組んできたが
今シーズンは不本意な成績に終わった。
ここで男のけじめをつけたい。
今は静かにユニホームを脱ぎたいと思う。」
言いたいことは山ほどあった。
でもそれを口にしてしまったら男ではない。
恨み言ひとつ言わずに去った。
そらが私の「男のけじめ」であった。


優勝を3年連続で逃し、事実上の解任。
それを受けての会見でのコメントです。
この回にはぐっとくるものがありました。
3年間で築いた選手との絆、
まさに「これから」という時に・・・


おそらくこれが企業のトップでも
同じように解任になってしまうのでしょうが、
この潔さは、必要ですね。


長嶋編もあと2回。
最後まで見逃せない“履歴書”です。