笹岡隆甫&笹島保弘、ふたりのお話。

今日は、「京都ブランド創生講義2008」というセミナーに参加してきました。
毎月二回、京都に関わるいろいろな方のお話が聞けるものなのですが、
今日の講演内容は、こんな感じ。




◆第1部「室礼ともてなしの心」
    笹岡 隆甫 氏(未生流笹岡 次期家元)


◆第2部「京の食文化をイタリア料理で表現」
    笹島 保弘 氏(イルギオットーネ オーナーシェフ

 


お二人とも、テレビや雑誌にもよく取り上げられる、
これからの京都ブランド育成におけるキーマンですね。


まずは笹岡氏のお話。
なんと京大工学部建築学科出身なのですね、
建築についてのお話も分かりやすく織り交ぜながらの講演。
本当に勉強になりました。


華道の歴史や、西洋のフラワーアレンジメントとの違い、
床の間が存在する意味などなど、幅広く学んできましたよ。


ちなみに、華道のテクニックのひとつに「アシンメトリー」に
生けることが挙げられるんだそうです。
左右非対称にすることで、「不完全」であるおもしろさが生まれるんだとか。
日本人はその「不完全」に美を見出すことができる人種なんですね。


そして、華道のキーワードとして
挙げられていたのが


「花の、声にならない声を聞くこと」


花を生けるだけが華道ではなく、
その生けた花を長く楽しむためには、
決して話すことはできない花の「声」を聞き、
花にとってベストな状態を保ってやることが大事なんですね。


日々花を見つめ、「水が欲しい」「枝を切ってほしい」などなど
そんなメッセージを読み取っていくわけです。


そして、花だけでなく、人の「声にならない声」を感じ取り、
心地よい関係を築くことが“おもてなし”なんですね。
確かに、相手の気持ちや考えを、自然に汲みとって
見事な振る舞いをされる方、いらっしゃいますよね。
大人だな〜と思います。


ちなみに、今日は実際に目の前でお花も生けてくださったのですが、
雑然とバケツに入っていただけの、普通の枝や花が、
笹岡氏の手にかかればあっという間にアートに変わります。
本当にすごい。
私も、お花やってみたいな。



続いては笹島シェフのお話。
同氏には以前、仕事でお会いしたり、
お料理教室に行かせていただいたことがあったりと、
笹岡さんよりはちょっと身近かも


ちなみに、笹島さんの「IL GHIOTTONE」には社訓があるそうです。
それは『やるしかない!』
とにかく、なんでもやってみよう!やるしかないんだ!
絶対に逃げちゃダメ!ということらしいです。
意外に体育会系!ですね。


紆余曲折あって、イタリアに修行に出て、
「これぞイタリア料理!」というものを身に付け、
日本に帰ってからも「イタリアの食材」「イタリアの調理法」に
頑固なまでにこだわっておられたそうですが、
ある日イタリア人に「イタリア料理は、イタリアで育った食材を
採れたてのまま使うから旨いんだ。なんで日本の食材を使わない!?」
と突っ込まれたそうです。


以前から京都の野菜の美味さには気付かれていましたが
それは京料理として楽しむものであって
自分の作る料理は別!
そんな考えが根底から変わった瞬間だったそうです。


さらに、京都ならではの「お出汁」の文化。
こちらも研究され、昆布や鰹でとったお出汁も
IL GHIOTTONEの料理の大事な要素になっています。


そうやって、今のスタイル「地元の食材を使い、食文化を取り入れた」
イタリアンが生まれたんですね。


ちなみに、笹島氏も実演で「鱧ときゅうりのパスタ」を作られました!
講演会場中、いい香りが漂います。


そこではもちろんオリーブオイルを使われるのですが、
なんと、我が家で愛用している商品とまったく同じ!
というのが嬉しかったりしました^^


笹島シェフも御用達^^RE OLIO オリーブオイル



いやぁ、講演の内容も全て興味のあることで、
パフォーマンスも最高。いい講演を聴くことが出来ました!
楽しかった!



あ、最後にひとつ。
お二人が共通して懸念されていたことは「環境破壊」。


温暖化によって、四季の周期がおかしくなり、
「四季の花々を楽しむ」華道が成立しなくなるという懸念。
そして、冬が緩くなった京都では、
京野菜も、数十年前と比較して味が薄くなってきているとか。


夏は蒸し暑く、冬は底冷えで寒すぎる。
そんな寒暖の差が京都の特徴であり、
またそんな気候のもと育まれてきた自然、そして文化があるわけです。


自らの手で、そんな大切なものを失いたくはありませんね。


◆IL GHIOTTONE <イル ギオットーネ
 http://www.ilghiottone.com/home.html


未生流笹岡
 http://www.kadou.net/